COLUMNコラム
店頭調査で売場の実態を可視化!売上改善に直結するチェックポイントと実施方法を徹底解説
「新商品を発売したのに、想定より売上が伸びない」「本部が指示した通りの売り場作りが徹底されているかわからない」といったお悩みはありませんか? 消費者の購買決定の多くは店頭で行われると言われており、現場(売場)の状況を正確に把握することは、マーケティング戦略において極めて重要です。しかし、全国の店舗を自社だけで巡回・管理するのは限界があります。
この記事では、店頭調査の基礎知識から、具体的な調査手法、売上アップにつながるチェックポイント、そして調査会社を活用するメリットについて徹底解説します。売場の「事実」を知り、確実な改善策を打ちたい担当者様はぜひ参考にしてください。
店頭調査(ストアリサーチ)とは?
店頭調査(ストアリサーチ)とは、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、家電量販店などの小売店において、商品がどのように販売されているか、消費者がどのような行動をとっているかなどの「実態」を収集・分析するマーケティングリサーチのことです。
メーカーや小売本部は、POSデータ(販売実績データ)によって「何が、いつ、いくらで売れたか」を知ることはできます。しかし、「なぜ売れなかったのか」「売場のどの位置にあったから売れたのか」「お客様はどの商品と比較して購入を決めたのか」といった定性的な背景や現場のコンディションまでは、POSデータだけでは読み取れません。
店頭調査は、この「数字には表れない現場の真実」を可視化するための手法です。商品が棚に並んでいない(欠品)、プライスカードが間違っている、競合商品の方が目立つ場所に置かれているといった、売上低下の直接的な原因を特定するために不可欠なプロセスといえます。
経済産業省の商業動態統計などを見ても、小売の現場は常に変化しています。マクロな視点だけでなく、ミクロな「個店ごとの状況」を把握することが、競争優位性を保つ鍵となります。 (参考:経済産業省|商業動態統計)
店頭調査の主な種類と特徴
「店頭調査」と一口に言っても、その目的によって最適な手法は異なります。ここでは代表的な3つの調査手法について解説します。
覆面調査(ミステリーショッパー)
覆面調査(ミステリーショッパー)は、調査員が一般客を装って店舗を訪れ、サービス内容や店舗の状態を評価する手法です。
主に、接客態度、店内の清掃状況、レジのスピード、商品の品質などをチェックします。店員に気づかれないように調査を行うため、普段通りのありのままの店舗状況(実力)を知ることができるのが最大の特徴です。CS(顧客満足度)向上や、オペレーションマニュアルが遵守されているかを確認する際によく利用されます。評価項目は事前に細かく設定され、数値化することで店舗間の比較も容易になります。
店頭出口調査
店頭出口調査は、買い物を終えて店から出てきたお客様に対して、その場でインタビューを行う手法です。
「なぜその商品を買ったのか(購入理由)」「どの商品と迷ったか(比較検討)」「買わなかった理由は何か(非購入理由)」などを聴取します。記憶が鮮明なうちにヒアリングできるため、より具体的で精度の高い回答が得られます。 特に、POSデータでは絶対に把握できない「買おうとしたが、商品が見つからなくてやめた」という機会損失の要因を探るのに非常に有効です。
店舗巡回(ラウンダー)調査
店舗巡回調査は、定期的に店舗を訪問し、売場のメンテナンスや状況報告を行う手法です。これを専門に行うスタッフを「ラウンダー」と呼びます。
主な目的は、自社商品の陳列状況の確認、在庫の補充、販促物(POP)の設置、売場担当者とのコミュニケーションによる売場拡大交渉などです。単なる「調査」にとどまらず、その場で「売場の改善」まで行う実行部隊としての側面が強いのが特徴です。 新商品の発売時期や、キャンペーン期間中に集中的に行うことで、垂直立ち上げを狙うことができます。
売場改善につながる具体的なチェックポイント
調査を実施する際、漫然と店を見るだけでは意味がありません。売上に直結する具体的なチェックポイントを設定する必要があります。
陳列状況(棚割・フェイス数)の確認
最も重要なのが「商品がどこに、どれくらい並んでいるか」です。
- 棚の位置(ゴールデンゾーン): お客様の目線(高さ約135cm〜150cm)に商品があるか。最下段や最上段など、手に取られにくい場所に追いやられていないか。
- フェイス数: 商品が横に何列並んでいるか。フェイス数が多いほど視認性が高まり、売上アップにつながります。
- 棚割の遵守: 本部が決定した「棚割表(プラノグラム)」通りに陳列されているか。
これらを調査員が写真撮影して報告することで、本部商談通りの展開ができているかをチェックします。
販促物(POP)の設置状況と劣化
POPやキャンペーンボードなどの販促物は、購買意欲を後押しする重要なツールです。しかし、本部から送付しても、現場の忙しさからバックヤードに放置されているケースが多々あります。
- 設置率: 送付したPOPが実際に設置されているか。
- 設置場所: 商品のすぐそばにあり、価格やスペックが見やすくなっているか。
- 劣化状況: 色あせたり、破れたり、ホコリを被ったりしていないか。
汚れた販促物は逆にお客様の購買意欲を削ぐため、調査時に撤去や交換を指示することも重要です。
接客品質と推奨販売の実施状況
高機能商品やカウンセリング化粧品などの場合、店員の「推奨(おすすめ)」が購入の決め手になります。
- 知識量: 商品の特徴を正しく説明できているか。
- 推奨頻度: 競合商品ではなく、自社商品を優先的に勧めてくれているか。
- キャンペーンの周知: 実施中のキャンペーンをお客様に案内しているか。
これらをチェックすることで、販売員向けの研修が必要か、インセンティブの仕組みを見直すべきかといった対策が見えてきます。
店頭調査を実施するメリット
・本部の計画と現場の「ギャップ」を解消できる
多くの企業で課題となるのが、本部の方針と現場の実態の乖離です。「全店でキャンペーン実施中」と認識していても、実際には3割の店舗でPOPが設置されていなかった、というケースは珍しくありません。
店頭調査によって各店舗の状況を「見える化」することで、本部と現場のギャップを埋め、PDCAサイクルを高速で回せるようになります。実施率の低い店舗に対して具体的な指導を行うことで、全社的な施策の効果を最大化できます。
・競合他社の動きをリアルタイムで把握できる
小売の現場はまさに戦場です。自社の状況だけでなく、競合他社の動きを知ることも重要です。
- 競合の新商品がどの位置に陳列されているか
- 競合がどのようなキャンペーンを行っているか
- 競合商品の実売価格はいくらか
調査員を通じてこれらの情報をリアルタイムに収集することで、価格対抗や販促強化などのカウンターアクションを迅速に打つことができます。定点観測を行うことで、市場のトレンド変化をいち早く察知することも可能です。
調査会社に依頼する際の選び方と流れ
店頭調査を自社社員だけで行う場合、移動コストや集計工数が膨大になり、本来の業務を圧迫する恐れがあります。また、身内による評価は甘くなりがちです。そのため、第三者である専門の調査会社に依頼するのが一般的です。
調査会社を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
1.対応エリアと調査員数: 全国規模の調査が可能か、地域特化型か。
2.業界知識: 食品、日用品、家電など、自社の業界に精通しているか。
3.レポートの質: 単なる集計だけでなく、具体的な改善提案があるか。
4.スピード: 調査実施からレポート納品までの期間。
まとめ
店頭調査は、POSデータだけでは見えない「売場の真実」を明らかにし、売上改善への具体的なアクションプランを導き出すための強力なツールです。
- 覆面調査、出口調査、ラウンダーなど、目的に応じた手法を選ぶ。
- 棚割、POP設置、接客品質など、具体的なチェックポイントを設ける。
- 調査結果をもとに、本部と現場のギャップを埋め、競合対策を行う。
「売上が伸び悩んでいるが原因がわからない」「現場の状況を正確に把握したい」とお考えの企業担当者様は、プロフェッショナルによる店頭調査の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
お気軽にお問い合わせください。
RJCリサーチでは、お客様の課題に合わせたオーダーメイドの店頭調査プランをご提案しています。 覆面調査によるサービス品質のチェックから、ラウンダーによる売場改善、出口調査による購買心理の解明まで、豊富な実績をもとにサポートいたします。
「まずは小規模で試したい」「全国一斉に調査を行いたい」など、あらゆるニーズに対応可能です。売場の課題を解決し、確実な売上アップを目指しませんか?
よくある質問(FAQ)
Q:店頭調査の費用感はどれくらいですか?
A:調査の手法、店舗数、調査項目の多さによって大きく異なります。数店舗のトライアルであれば数万円から、全国規模の調査であれば数百万円となる場合もあります。まずは予算と目的を伝えて見積もりを取ることをおすすめします。
Q:調査結果が出るまでにどのくらいの期間がかかりますか?
A:調査の規模によりますが、企画設計から実査、集計、レポート提出まで、一般的に1ヶ月〜2ヶ月程度が目安です。ただし、リアルタイムレポートシステムを導入している場合、調査当日に速報を確認できることもあります。
Q:調査員だと店舗側にバレることはありませんか?
A:覆面調査(ミステリーショッパー)の場合、調査員は特別な訓練を受けており、一般客として自然に振る舞うため、店舗側に気づかれることはほとんどありません。逆に、ラウンダー調査の場合は、店舗の許可を得て入店証を着用し、堂々と活動を行います。
Q:全国の店舗を一斉に調査することは可能ですか?
A:はい、可能です。多くの調査会社は全国に調査員ネットワーク(登録モニター)を持っています。北海道から沖縄まで、同期間に一斉に調査を実施し、地域ごとの傾向差を分析することができます。
この記事をシェアする
Xでポストする
Facebookでシェアする
LINEで送る
リンクコピー