COLUMN

2026/01/19

認知度調査の3つの指標と質問設計のコツ|失敗しないブランド調査の手順

認知度調査とは?実施する重要性とメリット

認知度調査(ブランド認知調査)とは、ターゲットとなる消費者が、自社の商品やサービス、ブランド名を「どの程度知っているか」「どのように認識しているか」を数値化して把握するための調査です。 

単に「名前を知っているか」だけでなく、サービスの特徴まで理解されているか、競合と比較してどの位置にいるかを探ることができます。 

 

マーケティング戦略の基盤となるKPI設定

認知度は、マーケティングファネルの入り口にあたる重要な要素です。認知がなければ、検討も購入も発生しません。 認知度調査を行うことで、現在のブランドの浸透度をパーセンテージ(%)で可視化でき、以下のようなKPI設定が可能になります。 

  • 現状把握: 自社商品の認知率が20%なのか、80%なのかを知る。 
  • 目標設定: 次の四半期までに認知率を5%アップさせるという具体的な目標を立てる。 
  • 施策評価: TVCMやWeb広告の実施前後で調査を行い、投資対効果(ROI)を検証する。 

 

競合他社との比較優位性の把握

自社の数値だけを見ていても、それが市場全体で見て高いのか低いのかは判断できません。認知度調査では、必ず「競合他社」も選択肢に入れて調査を行います。 

例えば、「自社の認知度は50%だが、トップシェアのA社は90%ある」という事実が分かれば、まずは認知拡大が最優先課題となります。逆に、「認知度は競合と同等だが、購入意向が低い」場合は、商品力や価格設定に課題があるかもしれません。このように、打つべき施策の解像度を高められるのが最大のメリットです。 

 

測定すべき3つの「認知」指標

一口に「認知」と言っても、マーケティングリサーチの世界ではその深さによって3つの段階に分類されます。正確な調査設計のためには、この違いを理解しておくことが必須です。 

 

第一想起(トップオブマインド)と純粋想起

「純粋想起(Unaided Awareness)」とは、ブランド名や商品名のリストを見せずに、「〇〇(カテゴリ名)と言えば、どのブランドを思い浮かべますか?」と質問し、回答してもらう指標です。 

  • 第一想起(トップオブマインド): 一番最初に名前が挙がったブランド。ここが強いブランドは、市場シェアも高い傾向にあります。 
  • その他の純粋想起: 2番目以降に名前が挙がったもの。 

この指標が高いブランドは、消費者の頭の中に強く定着しており、購買時の選択肢に入る確率が極めて高くなります。 

 

助成想起(Aided Awareness)

「助成想起」とは、ブランド名のリストやロゴを提示した上で、「この中で知っているブランドを選んでください」と質問する形式です。 

一般的に「認知度」と言う場合、この助成想起の数値を指すことが多いです。純粋想起よりも数値は高く出ますが、ヒントがないと思い出してもらえないため、購買への結びつきは純粋想起に劣ります。 

 

内容認知(理解度)

名前を知っているだけでなく、「その商品がどんな特徴を持っているか」「どんなメリットがあるか」まで知られている状態です。 

  • 「名前は知っているが、何に使うか分からない」 
  • 「名前も知っていて、かつ肌に優しい洗剤だと知っている」 

この差は大きいです。単なる知名度向上だけでなく、商品のUSP(独自の売り)が正しく伝わっているかを確認するために測定します。 

 

認知度調査の主な手法・選び方と費用相場の目安

認知度調査には複数の手法が存在し、それぞれ得意とする目的・取得できるデータ・費用・期間が異なります。

そのため、「とりあえずWeb調査をやる」「安い方法を選ぶ」といった判断では、意思決定に使えないデータになってしまうケースも少なくありません。重要なのは、「何を知りたいのか」→「どの手法が最適か」→「どの程度のコストと期間がかかるのか」をセットで考えることです。

ここでは、認知度調査で代表的なインターネットリサーチ(定量調査)・インタビュー調査(定性調査)・街頭調査・会場調査(CLT)の3つの手法について、特徴と選び方、あわせて費用・期間の目安を解説します。

手法インターネットリサーチ(定量)インタビュー調査(定性)街頭・会場調査(CLT)
主な目的市場全体の認知度把握、競合比較認知・選択理由の深掘り特定エリア・実物評価
サンプル規模数百〜数万人数人〜数十人数十〜数百人
得られるデータ認知率・数値データ発言内容・心理定量+定性
費用相場数万円〜50万円程度内容により変動規模により変動
期間目安約1ヶ月3週間〜1.5ヶ月1〜2ヶ月

 

インターネットリサーチ(定量調査)

インターネットリサーチは、現在もっとも一般的で、コストパフォーマンスに優れた認知度調査手法です。
短期間で大量のサンプルを回収できるため、市場全体の認知度を数値で把握したい場合に適しています。

全国規模での調査や、年齢・性別・居住地などの属性別分析が可能なため、認知度の「全体像」や「競合との差」を客観的な数値で把握できます。

一方で、インターネットを日常的に利用しない層(高齢者の一部など)の声は拾いにくいという特性があります。
また、サンプル数が少なすぎると誤差が大きくなるため、最低でも400〜1,000サンプル程度の回収が推奨されます。

費用相場・期間の目安
・期間:最短 約1ヶ月
・費用:数万円〜50万円程度

設問数(10問か30問か)、サンプル数(500人か5,000人か)、分析の深さやレポート作成の有無によって大きく変動します。戦略立案に活用する場合は、30万〜50万円程度を一つの目安とすると安心です。

 

グループインタビュー・デプスインタビュー(定性調査)

インタビュー調査は、定量調査では把握できない「なぜそのブランドを知ったのか」「なぜ選ばれないのか」といった、数値の背後にある理由を深掘りするための手法です。

グループインタビューやデプスインタビューを通じて、消費者の生の言葉や無意識の判断軸を把握できる点が最大の特長です。

ただし、サンプル数が限られるため、市場全体の傾向を数値として一般化することはできません。
そのため、定量調査で全体像を把握した上で、補完的に実施するのが一般的です。

費用相場・期間の目安
・期間:3週間〜1.5ヶ月程度
・費用:調査内容・実施条件により変動

対象者のリクルーティング難易度、インタビュー回数、モデレーター(司会者)のスキルレベルによって費用・期間は変動します。
施策改善やコンセプト検証を目的とした調査に向いています。

 

街頭調査・会場調査(CLT)

街頭調査・会場調査(CLT)は、実際の街中や指定会場で対象者に直接アンケートを行う手法です。
特定エリアでの認知度把握や、パッケージ・広告物などを見せたうえでの反応確認に適しています。

Web調査では得られない、リアルな接触環境での評価を取得できる一方で、調査員の手配や会場設営が必要となるため、コストや実施期間は比較的かかる傾向があります。

費用相場・期間の目安
・期間:1〜2ヶ月程度
・費用:調査規模・実施条件により変動

店舗施策やエリアマーケティングなど、「特定の場所・シーンでの認知」を把握したい場合に有効です。

 

失敗しない調査票設計の重要ポイント

認知度調査の品質は「質問の作り方」で9割決まります。よくある失敗を防ぐためのポイントを解説します。 

 

質問の順序には鉄則がある

最も重要なルールは、「純粋想起」→「助成想起」の順で聞くことです。 

先に選択肢(ブランドリスト)を見せてしまうと、回答者に「あ、このブランド知ってる」というヒントを与えてしまい、その後の純粋想起(ヒントなしでの回答)のデータが汚染されてしまいます。 

【正しい順序の例】 

1.(FA/自由記述)「炭酸飲料と言えば、どの銘柄を思い浮かべますか?思いつく限り挙げてください」 

2.(MA/複数回答)「次の中で、あなたが知っている炭酸飲料を全て選んでください」 

 

スクリーニング調査の精度を高める

調査対象者が「自社のターゲット層」と合致していなければ、データは無意味になります。 本調査に入る前に、事前調査(スクリーニング)を行い、条件に合う対象者を抽出します。 

  • 性別・年代: 自社のターゲット層に合わせる。 
  • カテゴリ関与度: 「普段、炭酸飲料を飲みますか?」→「全く飲まない」人を外す、または比較対象として残すかの判断。 

 

競合ブランドの選定

助成想起の選択肢に入れる「競合他社」の選び方も重要です。 自社が意識している競合だけでなく、消費者が実際に比較検討しているブランドを含める必要があります。予備調査などで「よく購入するブランド」を洗い出しておくと、精度の高い比較が可能になります。 

 

認知度調査の実施フロー

実際に調査を行う際の流れを把握しておきましょう。 

 

1. 企画・設計

調査の「目的」を明確にします。「新商品の認知度を知りたい」のか、「リブランド後のイメージ変化を知りたい」のかによって、聞くべき項目が変わります。ここで仮説を立てておくことが重要です。 

 

2. 調査票作成・実査

設計に基づき、アンケート画面を作成し、モニターに配信します。Web調査の場合、数日で回収が完了することも多いですが、特殊なターゲット(例:特定のBtoB決裁者など)の場合は時間がかかることがあります。 

 

3.集計・分析(クロス集計)

回収したデータを集計します。単なる全体集計(GT)だけでなく、「クロス集計」を行うことが重要です。 

  • 性年代別: 20代女性の認知度は高いが、40代男性は低い。 
  • 地域別: 関東では有名だが、関西では無名に近い。 
  • 利用状況別: ヘビーユーザーとライトユーザーでの認識の差。 

このようにデータを切り分けることで、具体的な課題が見えてきます。 

 

調査会社に依頼するメリット

最近ではセルフ型アンケートツールも増えていますが、正確な意思決定を行うための調査は、プロの調査会社に依頼することを推奨します。 

 

バイアスのない公正な設計

自社で設問を作ると、どうしても「自社に有利な回答」を誘導するような聞き方になってしまいがちです(誘導尋問)。第三者である調査会社が設計することで、フラットで信頼性の高いデータが得られます。これは、社内会議や株主への報告資料として使う際にも非常に重要です。

 

高品質なモニターパネルの利用

調査会社は、本人確認済みで信頼性の高い大規模なモニターパネルを保有しています。セルフ型ツールでは集めにくい「特定の属性(例:年収1000万以上、特定の車種所有者)」に対しても、ピンポイントでアプローチが可能です。 

 

高度な分析と提案力

データは「集めて終わり」ではありません。 「認知度は低いが、満足度は異常に高い」というデータが出た場合、「知られてさえすれば勝てる」という示唆が得られます。プロのリサーチャーは、数字の羅列から「次に打つべき一手」を読み解き、提案までを行います。 

市場調査の目的に合わせた最適な調査設計をご提案します。 どのような調査が適しているか迷われている場合も、まずは無料相談をご活用ください。

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まとめ

認知度調査は、企業のマーケティング活動の「健康診断」のようなものです。 自社のブランドが市場でどう見られているかを客観的に把握することで、無駄な広告費を削減し、効果的な戦略へと舵を切ることができます。 

本記事のポイント: 

  • 認知度調査は、KPI設定や競合比較のために必須のツール。 
  • 指標には「純粋想起」「助成想起」「内容認知」の3段階がある。 
  • 質問順序を間違えると正確なデータが取れない(純粋想起が先)。 
  • クロス集計を行うことで、ターゲットごとの課題が浮き彫りになる。 
  • 正確な意思決定のためには、調査会社への依頼が確実。 

 

「なんとなく知名度が上がった気がする」から卒業し、確かなデータに基づいたマーケティングを行いましょう。 調査の設計や分析に不安がある方、自社に最適な調査手法を知りたい方は、ぜひ専門家にご相談ください。 豊富な実績を持つリサーチャーが、貴社の課題解決をサポートします。 お見積りや調査設計のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。 

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よくある質問(FAQ)

 Q:認知度調査はどのくらいの頻度で実施すべきですか? 

A:一般的には、半期に1回(年2回)または年1回の定期観測(トラッキング調査)を推奨しています。また、大規模な広告キャンペーンの「実施前」と「実施後」に行うことで、広告効果を正確に測定できます。 

 

 Q:必要なサンプル数はどのくらいですか? 

A:全体傾向を見るだけであれば400サンプル程度でも統計的に許容されますが、性年代別やエリア別で細かくクロス集計を行いたい場合は、各セグメントごとに最低でも30〜50サンプル以上確保できるよう、全体で1,000〜2,000サンプルを集めることが理想的です。 

 

 Q:BtoB商材でも認知度調査は有効ですか? 

A:はい、非常に有効です。BtoBの場合、対象者が一般消費者ではなく「企業の選定担当者」や「決裁者」になります。そのため、一般的なWebパネルではなく、職業や役職でスクリーニングをかけた専門的な調査が必要になりますが、競合との立ち位置を知る上で極めて重要です。 

 

 Q:調査結果が出るまでどのくらいかかりますか? 

A:Web上のアンケート調査(定量調査)であれば、調査票の確定から実査、ローデータ(集計前のデータ)の納品まで最短で3営業日〜1週間程度で可能です。詳細な分析レポートを含めるとプラス1週間程度が目安となります。 

 

 Q:質問票(アンケート内容)は自社で作るのですか? 

A:自社で作成したものを調査会社に入稿することも可能ですが、プロのリサーチャーに目的を伝えて設計・添削してもらうことを強くお勧めします。専門家が介入することで、回答バイアスを防ぎ、より有益なデータが得られるようになります。 

 

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