COLUMN

2025/12/26

飲料パッケージ評価の方法とは?売れるデザインを作る調査のポイントと手順

新商品の開発やリニューアルにおいて、「このパッケージデザインで本当に売れるのだろうか?」「店頭で消費者の目に留まるだろうか?」といった不安を抱えていませんか?飲料市場は競争が激しく、パッケージの第一印象が購買決定に直結します。社内の評価だけでは見えにくい、消費者のリアルな反応をデータで掴むことが成功の鍵です。この記事では、飲料パッケージ評価における具体的な調査手法や、チェックすべき重要ポイントについて解説します。 

 

飲料パッケージ評価はがなぜ重要なのか

飲料市場、特に清涼飲料水やアルコール飲料のカテゴリーは、毎シーズンのように新商品が投入される激戦区です。コンビニエンスストアやスーパーマーケットの棚には類似商品が並び、消費者が一つの商品を選ぶのにかける時間はわずか数秒と言われています。これをマーケティング用語で「FMOT(First Moment of Truth)」と呼びます。 

この一瞬の判断において、味や価格以上に影響を与えるのが「パッケージ」です。どれほど中身が美味しくても、パッケージがターゲット層に響かなければ、そもそも手に取ってもらえません。 

多くの企業で陥りがちなのが、デザイン担当者や決裁者の「主観」や「好み」だけでデザインを決定してしまうことです。しかし、作り手が「かっこいい」と思うデザインと、消費者が「買いたい」と思うデザインには乖離があることが少なくありません。 客観的な市場調査(リサーチ)を通じて、発売前にパッケージのデザイン案を定量・定性の両面から評価することは、失敗のリスクを減らし、ヒットの確度を高めるために不可欠なプロセスなのです。 

 

パッケージ評価で見極めるべき3つの視点

パッケージ評価を行う際、単に「好きか嫌いか」を聞くだけでは不十分です。飲料においては、以下の3つの視点をバランスよく評価する必要があります。 

店頭での視認性・インパクト(シェルフインパクト)

競合商品がひしめく棚の中で、自社商品が埋もれてしまっては意味がありません。「遠くから見ても目立つか」「ブランドロゴや商品名が認識できるか」「何味の飲み物なのかが一目でわかるか」といった視認性は最優先事項です。これを「シェルフインパクト(棚での存在感)」と呼びます。 特にコンビニエンスストアのような限られたスペースでは、パッケージの色彩や形状が消費者の視線を捉えるフックとなる必要があります。 

コンセプトの伝達力・受容性

パッケージは「商品の顔」であると同時に「メディア」でもあります。開発側が意図したコンセプト(例:「無糖でスッキリ」「贅沢な果実感」「健康機能性」など)が、デザインを通じて消費者に正しく伝わっているかを確認する必要があります。 「高級感があると思って作ったデザインが、消費者には古臭く見えていた」「健康志向の商品なのに、甘そうなデザインに見えて敬遠された」といったミスマッチを防ぐため、デザインから受ける印象と言語化されたコンセプトの一致度を測定します。 

 

機能性・使い勝手(ユーザビリティ)

飲料の場合、デザインの見た目だけでなく、容器としての機能性も評価対象となります。 「持ちやすい形状か」「キャップは開けやすいか」「飲み口の口当たりは良いか」「分別廃棄がしやすいか」といったユーザビリティ(使用性)の視点です。特に近年はエコ意識の高まりにより、ラベルレスや潰しやすいペットボトルなどの評価軸も重要になっています。実際の飲用シーンを想定した評価が必要です。 

※参考リンク:消費者庁:食品表示法等(法令及び一元化情報) (パッケージデザインには食品表示法に基づく正しい記載も求められます) 

 

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飲料パッケージ評価に有効な調査手法

目的や予算、開発フェーズに合わせて適切な調査手法を選ぶことが重要です。ここでは代表的な4つの手法を紹介します。 

会場調査(CLT):棚割りテスト

会場調査(CLT:Central Location Test)は、指定した会場に対象者を集めて行う調査です。 飲料パッケージ評価において最も推奨されるのが、このCLTで行う「棚割りテスト(シェルフテスト)」です。 会場内に実際の店舗(コンビニやスーパー)を模した棚を作り、競合商品と一緒に新商品のダミーパッケージを陳列します。 「普段通りに買い物をしてもらう」というシチュエーションを作り出し、どの商品が最初に目に留まったか、どの商品を手に取ったか、そして最終的にどれを購入しようとしたかを観察・聴取します。 

リアルな購買環境に近い状況での評価が得られるため、発売後の売上予測の精度が高まります。また、試飲調査とセットで行うことで、パッケージの印象と実際の味のギャップ(期待値とのズレ)を測定することも可能です。 

 

オンライン画像評価調査

インターネット調査を通じて、画面上でパッケージデザイン案を提示して評価を得る方法です。 最大のメリットは、低コストかつ短期間で大量のサンプル(数千人規模)から回答を集められる点です。A案、B案、C案のどのデザインが良いかという「スクリーニング(絞り込み)」の段階で特によく利用されます。 ただし、PCやスマホの画面上での評価となるため、実際の商品サイズ感や質感、棚に並んだ時の立体的な見え方とは異なる場合がある点には注意が必要です。 

 

アイトラッキング(視線計測)調査

特殊なメガネ型デバイスや据え置き型のアイトラッカーを使用し、消費者の「視線の動き」を科学的に分析する手法です。 「パッケージのどの部分を最初に見ているか」「どの要素を長く見ているか(注視点)」「視線がどう移動したか」をヒートマップなどで可視化します。 アンケートでは「ロゴを見ました」と答えていても、実際の視線データではキャラクターに目がいっていた、というような無意識の行動を明らかにできるのが強みです。 

 

グループインタビュー(FGI)

定性調査の代表的な手法です。5〜6人の対象者を集め、モデレーター(司会者)の進行のもと、パッケージデザインについて自由に議論してもらいます。 「なぜこのデザインを手に取ったのか」「この色使いからどんな味を想像するか」といった、数値化できない深層心理や具体的な改善アイデアを掘り下げるのに適しています。 デザインの修正方向性に迷っている場合や、全く新しいコンセプトの飲料を開発する際などに有効です。 

 

調査実施の流れとポイント

効果的なパッケージ評価調査を行うための一般的なフローは以下の通りです。

1.課題の整理と仮説 何を知りたいのか(例:A案とB案のどちらが20代女性に受けるか等)を明確にします。 
2.調査設計 対象者条件(性別、年代、飲用頻度等)、手法(CLTかWebか)、質問項目を決定します。 
3.調査票・パッケージ見本の作成  精度の高い調査には、実物に近いモックアップ(模型)の準備が重要です。 
4.実査(リサーチ実施) 実際にモニターに対して調査を行います。 
5.集計・分析・レポーティング 得られたデータを分析し、次のアクションプランを策定します。 

 

ポイントは、ターゲット層を厳密に設定することです。例えば「微糖コーヒー」の評価であれば、普段コーヒーを飲まない層に聞いても意味がありません。「週に3回以上コンビニでコーヒーを買う層」など、実際の顧客になり得る層(スクリーニング)に対して調査を行うことで、意味のあるデータが得られます。 

 

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調査会社に依頼するメリット

パッケージ評価は自社で行うことも可能ですが、調査会社に依頼することで以下のようなメリットが得られます。 

客観性と信頼性の確保 社内調査ではどうしても身内のバイアスがかかりがちです。第三者機関による調査結果は、社内プレゼンや
小売店への商談資料として高い説得力を持ちます。 
高度な調査手法の利用アイトラッキングや、統計的に有意な差があるかを検定する分析など、専門的な技術やノウハウを
活用できます。 
質の高いモニター確保 調査会社は数百万規模のパネルを保有しており、「特定ブランドのヘビーユーザー」などの
ニッチな条件でも対象者を集めることが可能です。 
スピードと効率調査設計から実査、集計までを一括で任せられるため、担当者は商品開発のコア業務に集中できます。 

 

まとめ

飲料パッケージは、商品の売上を決定づける最重要要素の一つです。デザインの良し悪しを感覚だけで決めるのではなく、市場調査を通じて消費者の声を反映させることが成功への近道です。 

  • 視認性・コンセプト伝達・ユーザビリティの3視点で評価する。 
  • 棚割りテスト(CLT)は、リアルな購買行動を予測するのに最適。 
  • 初期段階の絞り込みにはWeb調査、深層心理の把握にはFGI、無意識の測定にはアイトラッキングを活用する。 
  • 調査会社を活用して、客観的なデータに基づいた意思決定を行う。 

これらを組み合わせることで、自信を持って市場に送り出せる「売れるパッケージ」を完成させましょう。 

 

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よくある質問(FAQ)

Q:パッケージのデザイン案は、どの程度の完成度で調査すべきですか?

 A:可能であれば実物に近いカラーのモックアップ(立体見本)が理想です。特にCLT(会場調査)では質感が評価に影響します。Web調査の段階であれば、平面のデザインカンプ(画像データ)でも十分な傾向把握が可能です。 

 

Q:調査期間はどれくらいかかりますか?

 A:手法によりますが、Web調査であれば準備から納品まで1〜2週間程度。会場調査(CLT)やグループインタビューの場合は、対象者のリクルーティングや会場手配を含めて1ヶ月〜1.5ヶ月程度が目安となります。 

 

Q:既存商品のリニューアルの場合、旧パッケージとの比較はできますか?

 A:はい、可能です。既存パッケージと新デザイン案を比較提示し、「どちらが美味しそうか」「どちらが目立つか」などを評価する調査(ABテスト等)は、リニューアルの失敗を防ぐために非常に有効です。 

 

Q:アイトラッキング調査とアンケート調査、どちらが良いですか? 

A:それぞれ役割が異なります。アイトラッキングは「無意識にどこを見たか(視認性)」を測定し、アンケートは「見てどう感じたか(印象・好意度)」を測定します。両方を組み合わせることで、より深い分析が可能になります。 

 

Q:調査費用はどれくらいかかりますか?

 A:調査手法、対象人数、質問数、会場の手配有無によって大きく変動します。ご予算に合わせた設計も可能ですので、まずはお気軽に見積もりをご依頼ください。 

 

関連サービス

>会場調査(CLT)

>ホームユーステスト(HUT)

>店頭調査(フィールドリサーチ)

>アンケート調査

>インタビュー調査(定性調査)

 

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