COLUMN

2025/12/08

調査費用の相場を徹底解説|市場調査をご検討中の方向け

調査費用の相場とは?

市場調査にかかる費用の基本構造

「調査 費用 相場」を考えるうえでまず押さえたいのが、費用の“内訳”です。見積書を見ても合計金額しかわからず、高いのか安いのか判断できないという声はよく聞かれます。費用構造を理解しておくと、余分なコストや不足している工程も見抜きやすくなります。 

一般的な市場調査費用は、①調査設計・企画費、②サンプル回収費(回答者への謝礼・パネル費用)、③実査運営費(調査員・会場・リクルート)、④集計・分析費、⑤報告書作成・報告会費の大きく5つに分かれます。たとえばWEBアンケートなら②と④の比重が大きく、グループインタビューなら③が重くなります。 

この構造を知っておけば、「なぜこの調査は高いのか」「どこを削ればコストを落とせるのか」を具体的に議論できます。見積りを比較する際も、合計ではなく内訳レベルで比較することで、適正な調査費用相場をつかみやすくなります。 

 

予算別にできることの目安

「そもそも、うちの規模だとどれくらいの予算を見込むべきか」という悩みも多いテーマです。ここでは、あくまで一般的なマーケティングリサーチの目安として、予算感とできることを整理します。 

  • 〜50万円:小規模なWEBアンケート(簡易調査・N数少なめ)や既存顧客へのメール調査など。仮説の一次検証や方向性確認レベル。 
  • 50〜150万円:一般的なインターネット調査(N=1,000前後)、シンプルなコンセプトテストや満足度調査など。 
  • 150〜300万円:グループインタビュー(数グループ)やデプスインタビューとWEB調査の組み合わせなど、定量+定性のハイブリッド。 
  • 300〜1,000万円:全国規模の大規模定量調査、店頭・訪問調査、多拠点での実査を伴うプロジェクトなど。 

 

もちろん、調査目的や対象、設問数などによって費用は前後しますが、「この目的なら最低これくらい」「この予算だとここまでできる」という感覚をつかんでおくと、社内での予算取りもしやすくなります。 

 

調査費用の相場:主要手法別の目安

インターネット調査(WEBアンケート)の費用相場

最も利用されているのが、消費者パネルを用いたインターネット調査です。「市場調査 費用 相場」で検索する方の多くも、まずはWEBアンケートの価格感を知りたいケースが多いでしょう。WEB調査は比較的低コストでスピーディに実施できる反面、サンプル条件や質問設計を誤ると、安くても使えないデータになるリスクがあります。 

目安として、一般消費者を対象にした全国WEB調査(N=1,000、設問数20〜25問程度)の場合、50〜150万円前後が相場帯です。属性を細かく絞る(例:特定ブランドの週1以上利用者のみ)場合や、動画・画像を多用するコンセプトテストでは、パネル費用やシステム費用が増え、200万円近くまで上がることもあります。 

費用を抑えるには、設問数を絞る、サンプルサイズをメリハリつけて設定する(コア層は厚く、それ以外は薄くする)などの工夫が有効です。また、総務省統計局が提供する公的統計データと組み合わせることで、自社調査の必要最低限の範囲を見極めることもできます。 

 

グループインタビュー/デプスインタビューの費用相場

ユーザーの本音やインサイトを深く掘り下げたい場合に有効なのが、グループインタビュー(FGI)やデプスインタビュー(DI)などの定性調査です。ただし、会場費・モデレーター費・リクルート費などがかかるため、WEB調査に比べると調査費用相場は高めになります。 

一般的には、グループインタビュー(1グループ2時間、6〜8名)で1グループあたり30〜60万円前後が目安です。実務上は3〜4グループ実施するケースが多いため、トータルでは100〜200万円程度を見込むとよいでしょう。デプスインタビュー(1対1、60〜90分)は、1インタビューあたり5〜10万円前後で、10名実施すると50〜100万円程度が目安です。 

費用を抑えつつ質を確保するには、「何グループ・何名必要か」を目的ベースで見直すことが重要です。例えば、「アイデア出し」が主目的なら少ないグループ数でも成立しますし、「セグメント別の比較・検証」が目的なら、グループ数を減らすと分析品質が落ちます。調査会社と議論しながら、最適なサンプル設計を決めることがポイントです。 

 

店頭・訪問・観察調査の費用相場

実際の購買行動や利用シーンを観察する店頭調査・訪問調査・エスノグラフィなどは、フィールドワーク型の調査です。調査員の派遣や交通費、撮影機材、許可申請といったコストが発生するため、インターネット調査よりも費用は高めになります。 

たとえば、全国数店舗の量販店で実施する店頭観察調査(数日間、調査員数名規模)では、概ね100〜300万円程度が一般的な費用感です。店舗数・調査日数・調査員数が増えるほど、比例してコストが上がります。訪問調査やエスノグラフィ(家庭訪問+撮影+インタビューなど)は、1ケースあたり10〜20万円前後となることが多く、10ケース実施で100〜200万円程度を見込むケースが多いです。 

このタイプの調査は、準備と調整に時間がかかるため、「直前での仕様変更」「対象エリアの拡大」などが起きると、追加費用が膨らみがちです。見積り段階で、対象店舗の範囲、調査時間帯、撮影の有無、店舗側の協力条件などをできるだけ具体的に固めておくことが、無駄なコストを防ぐコツです。 

 

大規模全国調査の費用相場

ブランド調査や市場規模推計などで必要になるのが、大規模な全国調査です。回収サンプル数が大きく、分析軸も多くなるため、調査費用の相場も高額帯になります。とはいえ、自社の意思決定の“ものさし”になる重要なデータとなるため、投資対効果は非常に大きい領域です。 

たとえば、全国15〜69歳男女を対象に、N=3,000規模のブランド認知・利用実態調査をWEBで実施する場合、300〜700万円程度が一つの目安となります。紙郵送や訪問面接など、インターネット以外の手法を組み合わせる場合は、1,000万円を超えるケースも珍しくありません。 

費用を抑えつつ精度を確保するには、「どこまで細かいセグメント別集計が必要か」「どの地域をどこまで網羅するか」を見直すことが有効です。また、総務省や経済産業省が公表している統計データを活用し、「自社で追加調査すべき範囲」と「既存統計で代替できる範囲」をきちんと切り分けることも重要です。 

 

見積り比較のポイントとコストを抑えるコツ

見積りを正しく比較するためのチェック項目

複数社から見積りを取ったものの、「金額も構成もバラバラで比較しづらい」という悩みはよく耳にします。調査会社ごとに標準パッケージや工程の分け方が異なるため、同じ条件で見積られていないケースも多いのです。ここを整理せずに「一番安い会社」で決めてしまうと、調査品質の差に後から気付くことになりかねません。 

見積り比較の際は、最低限以下のポイントを確認・揃えるようにしましょう。  

  • 調査目的・課題の理解度(提案内容の妥当性)  
  • サンプル条件・サンプルサイズ(誰を何人調べるか)  
  • 調査票・インタビューフロー設計の有無と範囲  
  • 集計・分析の深さ(単純集計のみか、クロス・多変量分析までか)  
  • 報告書の内容(グラフ+コメントのみか、示唆・提言までか) 

 

これらを揃えたうえで、「どこまでを自社で対応し、どこからを調査会社に任せるか」を決めると、単価だけでなく“実質的なコスパ”で比較しやすくなります。 

 

目的に合わせたスコープ調整でムダな費用を削減

調査費用が膨らむ典型的なパターンは、「できるだけ多く聞きたい」「あれもこれも知りたい」と要件を盛り込みすぎてしまうケースです。設問数やサンプル数が増えれば増えるほど、費用は直線的に伸びていきます。一方で、実際に意思決定に使う指標は限られていることも多いものです。 

コストを抑えるには、まず「今回の調査で絶対に明らかにしたいこと」を3つ程度に絞り込み、それ以外の項目を“あると嬉しいが必須ではない”と整理します。そのうえで、調査会社と一緒に、質問の統廃合や優先順位付けを行うと、設問数を無理なく削減できます。また、全員に聞く必要のない設問は、対象を一部に限定することでもコストダウンが可能です。 

たとえば、新商品コンセプトの評価なら、「好意度」「購入意向」「理由」の3点を軸に設計し、詳しいイメージ評価や価格感などはコアターゲットのみに聞く、といった設計が考えられます。このように、目的起点でスコープを調整することが、ムダな費用を削る一番の近道です。 

 

安さだけで選ばないための注意点

「同じWEB調査で、A社は80万円、B社は40万円。安い方が得では?」と感じるかもしれませんが、単純な金額差の裏には、調査品質やサポート範囲の違いが隠れていることが少なくありません。費用相場より極端に安い見積りには、必ず理由があると考えた方がよいでしょう。 

たとえば、パネルの品質管理が不十分で“サクラ回答”が多い、調査票設計や集計設計をほぼ自社で行う前提になっている、レポートが単純集計のグラフだけで解釈や示唆が一切ない、といったケースがあります。結果として、意思決定に使えるレベルのアウトプットにならず、「やり直し」で余計なコストと時間がかかるリスクもあります。 

調査会社選定の際は、「誰が設計・分析を担当するのか」「過去に類似テーマの実績があるか」「分析結果からアクションまで一緒に考えてくれるか」といった、“人”と“アウトプット”の質も必ず確認してください。費用だけでなく、得られる価値とリスクを総合的に見て判断することが重要です。 

 

市場調査費用のモデルケース

新商品コンセプト評価(WEB調査)のモデル費用

ここでは、具体的なプロジェクトを想定したモデルケースをご紹介します。まずは、多くの企業でニーズの高い「新商品コンセプト評価」のWEB調査を想定します。目的は、複数案のコンセプトの中から有望案を絞り込み、ターゲットや訴求ポイントを明確にすることです。 

  • 対象:全国20〜49歳男女 一般消費者  
  • サンプル:N=1,200(うちコアターゲット600、その他600)  
  • 手法:インターネット調査(設問数25問程度、画像・コピー提示あり)  
  • 工程:調査設計、画面作成、実査、集計、報告書作成・報告会 

 

この条件での調査費用相場は、おおよそ120〜200万円程度が一つの目安になります。コンセプト案の数が多い場合は、調査票が複雑になり分析工数も増えるため、費用も上振れします。逆に、案を3〜4つに絞る、設問数を20問以内に抑えるなどの工夫で、100万円前後までコストダウンすることも可能です。 

この規模の調査であれば、「どのコンセプトが有望か」「どのような属性の人に刺さりやすいか」「訴求の言い回しでどの程度差が出るか」といった意思決定に必要な情報を、ある程度網羅的に得ることができます。 

 

既存顧客満足度調査(定量+定性)のモデル費用

次に、既存顧客の満足度把握と改善点の抽出を目的としたハイブリッド調査のモデルケースです。CS(顧客満足度)調査は、多くの企業で定期的に実施されるテーマですが、「スコアは取れても、改善アクションにつながらない」という悩みもよく聞かれます。 

  • 対象:自社会員・利用顧客  
  • 定量:WEBアンケート N=2,000(満足度スコア、NPS、推奨理由・不満要因の把握)  
  • 定性:不満・要望の多い層を対象としたグループインタビュー 2G、満足度上位層へのデプスインタビュー数名  
  • 工程:設計、配信・回収、テキストマイニング分析、インタビュー、総合レポート・アクション提案 

 

このような構成では、トータルで200〜400万円程度が調査費用相場のイメージです。定量だけであれば100〜200万円ほどに抑えられますが、「なぜそのスコアになっているのか」「具体的にどこをどう改善すべきか」というインサイトを得るには、定性調査を組み合わせる価値が高いテーマです。 

モデルケースとして提示した金額はあくまで一例ですが、「どの工程にどれくらい費用がかかるのか」「どこを削ると何が失われるのか」をイメージしやすくなるはずです。自社の課題に合わせて、ボリュームや手法を調整していく形になります。 

 

調査会社に依頼するメリットと費用対効果

社内実施との比較で見えるコスト構造

「社内のアンケートツールで実施すれば、外部に依頼するより安く済むのでは?」と考える担当者も多いと思います。確かに、単純なアンケート配信と集計だけであれば、外部コストは抑えられます。しかし、調査設計や分析、報告書作成にかかる“社内工数”もコストとして考える必要があります。 

社内実施の場合、企画・設計・調査票作成・検証・配信・リマインド・集計・分析・レポート作成までを、マーケティングや企画の担当者が兼務することが多く、実際には数十時間〜百数十時間の工数が発生します。その間、担当者は本来業務に十分な時間を割けず、結果として機会損失が生まれていることも少なくありません。 

調査会社に依頼することで、この一連のプロセスを専門家に任せ、社内は「目的の設定」と「結果の活用」に集中できます。表面上の調査費用は増えても、トータルのコスト(人件費・機会損失)と得られるアウトプットの質を考えれば、費用対効果が高くなるケースが多いのです。 

 

失敗リスクを減らすことが最大の費用対効果

市場調査で最も避けたいのは、「お金をかけて調査をしたのに、意思決定に使えない」という事態です。設計ミスや対象抽出の誤り、質問のバイアス、分析の浅さなどが原因で、データが信頼できるものにならなければ、投入した費用はほぼ無駄になってしまいます。 

経験豊富な調査会社に依頼するメリットは、この“失敗リスク”を大幅に下げられることにあります。過去の豊富な案件から、「この目的なら何人・どの手法が妥当か」「どのような設問だとバイアスがかかりやすいか」といったノウハウが蓄積されているため、初歩的なミスを回避しながら設計・運営を行えます。 

さらに、分析結果をビジネスアクションに落とし込むところまで支援してもらえれば、新商品開発やサービス改善、マーケティング施策の精度が上がり、中長期的な売上・利益の改善につながります。調査費用は一時的なコストですが、得られたインサイトは長期的な資産になります。この視点で費用対効果を評価することが重要です。 

 

市場調査費用の相談・見積り依頼について

市場調査の費用相場は、手法や目的、対象によって大きく変動します。「うちの場合はいくらくらいを想定すべきか」「この予算でどこまでできるか」を知るには、実際の条件に基づいたヒアリングとお見積りが不可欠です。 

弊社では、調査目的に合わせて最適な手法とサンプル設計をご提案し、予算の範囲内で最大限の成果が出る調査設計を心がけています。まだ要件が固まっていない段階でも、課題整理からお手伝い可能です。 

市場調査の目的に合わせた最適な調査設計をご提案します。 

まずは無料相談をご活用ください。 

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まとめ

市場調査の調査費用相場は、WEB調査なら数十万〜百数十万円、グループインタビューや店頭調査では百万円台〜数百万円、大規模全国調査では数百万円〜と、手法とスケールによって大きく変わります。 

重要なのは、費用の内訳と目的との整合性を理解し、見積りを内訳レベルで比較することです。 

また、「あれもこれも聞きたい」を抑え、目的に直結する項目に絞ることで、コストをコントロールしやすくなります。 

調査会社を活用して失敗リスクを減らし、投資に見合うインサイトを得ることが、市場調査の費用対効果を高める鍵です。 

自社の状況に合わせた具体的な費用感を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。 

市場調査に関するお問い合わせはこちら 

 

よくある質問(FAQ)

Q:市場調査にはどんな種類があり、それぞれの費用相場はどれくらいですか? 

A:大きく分けると、WEBアンケートなどの定量調査、インタビューなどの定性調査、店頭・訪問などの実地調査があります。WEB調査は50〜150万円、グループインタビューやデプスインタビューは100〜200万円、店頭・訪問調査は100〜300万円程度が目安です。全国大規模調査は300万円以上になるケースが多くなります。 

Q:調査費用を安く抑えるための具体的な方法はありますか? 

A:①設問数を絞る、②サンプルサイズを目的に応じてメリハリをつける、③対象エリアや期間を必要最低限にする、④既存の公的統計や社内データで代替できる項目を洗い出す、といった方法があります。また、同じ条件で複数社から見積りを取り、調査内容を過不足なく比較することも重要です。 

Q:自社でアンケートを実施する場合と、調査会社に依頼する場合の違いは? 

A:自社実施は外部コストを抑えやすい一方で、設計・分析・レポート作成などに大きな社内工数がかかり、調査の質も担当者の経験に依存します。調査会社に依頼すると、費用はかかりますが、設計ミスやバイアスのリスクを抑えつつ、意思決定に直結するアウトプットを得やすくなります。トータルのコストとリスクを踏まえて検討することをおすすめします。 

Q:見積りを依頼する際、事前にどの程度情報を用意しておくべきですか? 

A:「調査の目的」「知りたいこと」「調査対象(誰を調べたいか)」「だいたいの予算感」「実施希望時期」程度を整理しておくとスムーズです。詳細が決まっていなくても、調査会社側でヒアリングしながら要件を固めていけるので、「まず話を聞いてみる」という段階でも問題ありません。 

Q:調査 費用 相場について、社内の決裁者にどう説明すれば納得してもらえますか? 

A:手法ごとの費用相場だけでなく、「その調査で何がわかり、どんな意思決定にどう役立つのか」「調査をしない場合にどんなリスクがあるか」をセットで説明することが重要です。あわせて、この記事で紹介したようなモデルケースや、総務省などの公的統計を例示しつつ、「自社独自に把握すべき部分」に調査費用を投資する、という整理で説明すると納得されやすくなります。 

 

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