COLUMNコラム
調査依頼方法ガイド|市場調査会社への発注ステップと準備
市場調査の依頼方法の全体像|まずは「ざっくりした相談」からでOK
市場調査のプロジェクトは、一般的に以下の7つのステップで進行します。
【市場調査依頼の7ステップ】
- 目的の整理
- 社内調整
- 調査会社選定
- RFP(提案依頼書)作成
- 提案・見積もり比較
- 契約
- 実査・報告
一般的には「ステップ4のRFP作成まで自社で完璧に仕上げてから、調査会社に声をかけるべき」と思われがちです。しかし、専門知識がないまま準備を進めるのは非常にハードルが高く、「何から手をつければいいかわからない」と時間を浪費してしまうケースも少なくありません。
悩む前に、ステップ1からお気軽にご相談ください。
RJCリサーチでは、まだ企画が固まっていない「ステップ1 目的の整理」の段階からのご相談を歓迎しています。
以下の図をご覧ください。私たちは、調査の実務(ステップ7)だけでなく、準備フェーズ(ステップ1〜4)のサポーターとしての役割も担っています。
「何を知りたいかが曖昧」「予算感がわからない」といった状態でも構いません。早い段階で私たちにご相談いただくことで、「本来調べるべきことは何か」を一緒に整理し、無駄のない最適な調査設計(ステップ4〜5)へスムーズに導くことができます。お気軽にお問い合わせください。
調査依頼前に整理すべき5つのポイント
調査目的と意思決定シーンを明確にする
課題が曖昧なまま調査会社に「とりあえずニーズを知りたい」と依頼すると、結果も漠然としたものになりがちです。最初に、「この調査結果を使って、どんな意思決定をしたいのか」を具体的に言語化しましょう。例えば「新商品の価格帯を決める」「次年度の広告配分を見直す」「解約の要因を特定し対策を立てる」などです。
調査目的は「背景」「課題」「知りたいこと」「意思決定」の4要素に分けて整理すると、調査会社も設計しやすくなります。
ターゲットと調査対象範囲を決める
次に、「誰について」「何を」「どこまで」調べるかを明確にします。BtoCなら年齢・性別・居住地・利用経験など、BtoBなら業種・従業員規模・担当部署・決裁権限などの軸を検討します。ここがぼやけていると、サンプル抽出が難しくなり、コストも膨らみがちです。
また、既存顧客だけなのか、休眠・離反した顧客も含めるのか、競合他社ユーザーも対象にするのか、といった対象範囲も依頼前に社内合意しておきましょう。調査会社に相談すれば、モニターパネルの有無や母集団サイズも踏まえて現実的な案を提案してもらえます。
予算とスケジュールの制約を確認する
市場調査は、サンプル数・質問数・対象条件・調査方法(オンライン、訪問、グループインタビューなど)によって費用が大きく変動します。調査会社に相談する前に、「この案件に投下できる概算予算」「意思決定の締め切り日」を社内で握っておくことが重要です。
例えば「約200〜300万円で2ヶ月以内」「100万円以内だが急ぎで1ヶ月で終えたい」など、目安レンジを共有すれば、調査会社側も現実的なプランを設計しやすくなります。予算感をまったく伝えないと、要件は満たすが予算オーバーな提案しか出てこない、ということも起こりえます。
社内ステークホルダーとゴールを揃える
市場調査は、マーケ・商品開発・営業・経営層など複数部署が関わるプロジェクトになりがちです。依頼前に、誰が意思決定者で、誰が利用者なのかを整理し、調査のゴールイメージを合わせておきましょう。
たとえば「経営会議で10分で説明できるレベルのアウトプットがほしい」「営業現場がすぐに使えるトーク例まで落とし込みたい」など、期待する成果物の粒度が違えば、設計も分析の深さも変わります。事前に関係部署から質問項目の要望ばかり集めてしまうと、アンケートが冗長になり、回答率が落ちるリスクも高まります。
既存データ・過去調査の棚卸しをする
依頼前に、自社で保有しているデータや過去の調査結果を棚卸ししておきましょう。顧客データベース、購買履歴、Webアクセスログ、CSの問い合わせ履歴、過去のアンケートなどです。すでにわかっていることと、まだわかっていないことを切り分けることで、調査の重複を防ぎ、費用対効果を高められます。
また、総務省統計局などの公的統計も、マーケットサイズや人口構造の把握に役立ちます。
調査会社への依頼手順7ステップ
調査会社候補のリストアップ
調査依頼方法の第一歩は、信頼できる調査会社候補を3〜5社ほどピックアップすることです。Web検索で「市場調査 〇〇業界」「顧客満足度 調査会社」などと調べるほか、業界内の紹介や過去にやり取りのあった会社も候補に入れましょう。
各社のサイトで「対応領域」「実績」「レポート例」「料金イメージ」を確認し、自社の業界に近い案件を扱っているか、BtoB/BtoCどちらに強いかを見極めます。依頼前に、問い合わせフォームから無料相談や資料請求を行い、反応スピードや説明のわかりやすさを確認しておくと安心です。
RFP(調査依頼書)の作成
候補となる調査会社には、同じ条件で比較できるようRFP(Request for Proposal:調査依頼書)を作成して共有するのが理想です。RFPには、①案件の背景、②目的・解決したい課題、③想定ターゲット、④希望する調査方法のイメージ、⑤予算レンジ、⑥スケジュール、⑦社内体制と決裁フロー、などを盛り込みます。
完璧である必要はありませんが、最低限の情報が揃っていると、調査会社からの提案の精度が一気に高まり、「とりあえず標準パッケージの提案だけが届く」といった事態を防げます。
打ち合わせ・ヒアリングの進め方
RFPを送ったら、各社とオンライン/対面での打ち合わせを設定します。この場では、調査会社からのヒアリングを受けつつ、こちらからも「業界理解度」「仮説思考の有無」「コミュニケーションの取りやすさ」を見極めることが重要です。
よくある失敗が、「価格だけで比較してしまい、実際に進行してみたら説明がわかりにくい」「こちらの事情をくみ取ってもらえない」というケースです。打ち合わせでは、自社の現状に近い過去事例や、調査後の活用イメージも積極的に質問し、伴走力のあるパートナーかどうかを見ておきましょう。
提案書・見積もりの比較ポイント
各社から提案書と見積もりが届いたら、以下の観点で比較します。
- 調査目的への理解と、課題の整理のされ方
- 調査設計(対象者条件、サンプル数、質問項目案、手法)の妥当性
- 分析・報告の深さ(単なる集計か、インサイト抽出まで踏み込んでいるか)
- スケジュールの現実性
- 料金と内訳(回収コスト、インセンティブ、設計・分析費など)
価格だけを見るのではなく、「この提案なら、意思決定に必要な情報が得られそうか?」という観点で評価しましょう。
調査設計のすり合わせと確認事項
発注先がほぼ決まったら、調査会社と一緒にアンケート票やインタビューフローを詳細に詰めていきます。この段階で重要なのは、「質問を足す」のではなく、「目的から逆算して本当に必要な質問だけに絞る」ことです。質問が多すぎると、回答率が下がり、データ品質も悪化します。
また、スクリーニング条件(対象者を絞り込む条件)、サンプルサイズ、回収方法、チェック方法、モニターインセンティブなどの実務的な仕様も、事前にすべて合意しておきましょう。
契約・発注時に押さえるべきこと
調査内容が固まったら、正式な見積書と契約書を取り交わします。契約書では、納品物の範囲(ローデータ、集計表、レポート、プレゼンなど)、著作権の扱い、再利用範囲、秘密保持、キャンセルポリシー、トラブル発生時の対応などを確認します。
社内決裁フローに時間がかかる企業では、逆算して承認スケジュールを組むことが重要です。スケジュールに余裕がない場合は、調査会社と相談し、「速報値だけ先に共有」「一部クロス集計は後日」など柔軟な進め方も検討しましょう。
実査〜報告会の進行と社内共有
発注後は、調査会社がパネル手配・回収・集計・分析を進めます。担当者は、途中経過報告(回収状況や予備集計)をチェックし、方向性に大きなズレがないかを確認しましょう。
報告会では、単なる結果説明だけでなく、「自社戦略への示唆」「次に取るべきアクション」まで議論できるよう、マーケ・商品開発・営業など関係部署にも参加してもらうと効果的です。報告資料をそのまま経営会議で使えるレベルにしてもらえるかどうかも、依頼時に調査会社へ相談しておくとよいポイントです。
調査依頼書(RFP)の書き方テンプレート
調査依頼方法の中で、担当者が最も悩みやすいのがRFPの作成です。以下のような構成で作ると、必要情報を漏れなく整理できます。
- 会社情報・担当部署・連絡先
- 案件の背景
- 解決したい経営・事業課題
- 調査の目的・意思決定内容
- 想定している調査対象・エリア・サンプル数のイメージ
- 希望する調査手法(例:ネットリサーチ、インタビューなど)※あれば
- 予算レンジと想定スケジュール
- 期待するアウトプット(レポート形式、報告会の有無など)
- 社内体制と意思決定プロセス
- 提出してほしい情報(会社概要、実績、スケジュール案 など)
実際には、上記のうち書けるところだけ埋めれば十分です。不足している部分は、調査会社との打ち合わせの中で補ってもらえます。重要なのは、「なぜこの調査が必要なのか」「結果をどう使うのか」という意図を具体的に伝えることです。
調査会社を選ぶときのチェックポイント
調査依頼方法を成功させるには、パートナーとなる調査会社選びが極めて重要です。チェックポイントとしては、以下が挙げられます。
- 自社の業界・ビジネスモデルへの理解度
- 過去実績の豊富さ(特に類似テーマの有無)
- 単なる集計ではなく、戦略提言まで踏み込めるか
- 担当者のコミュニケーション力・レスポンスの早さ
- 調査設計・分析に関する説明が論理的でわかりやすいか
- 小規模調査〜大規模調査まで柔軟に対応できるか
発注前の段階で、「この会社なら、社内の上長や経営層にも自信を持って紹介できるか?」という観点で判断すると失敗が少なくなります。
自社で準備すべき体制とよくある失敗例
調査依頼方法をいくら理解しても、社内体制が整っていないとプロジェクトはスムーズに進みません。最低限、以下の役割を決めておきましょう。
- プロジェクトオーナー(最終意思決定者)
- 窓口担当(調査会社とのやり取りを一本化)
- 関係部署の代表メンバー(マーケ、商品開発、営業、CSなど)
よくある失敗例としては、
- 上長の関与が薄く、途中で「そんな調査は不要」とストップがかかる
- 部署ごとに言いたいことを詰め込んだ結果、質問票が肥大化
- 調査結果を共有する場がなく、報告書がファイルサーバで眠る
といったものがあります。開始前に合意形成の場と報告共有の場をセットで設計しておくことが大切です。
プロの調査会社に依頼するメリット
自社だけでアンケートを作り、Googleフォームなどで回収することも可能ですが、プロの調査会社に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 目的に合った調査設計により、ムダな質問やサンプルを削減できる
- 専門パネルを活用することで、ターゲットを正確に抽出できる
- 統計的な有意差検定や高度な分析手法を用いた深い示唆が得られる
- 調査の回収・集計・分析・報告までをワンストップで任せられる
- 第三者データとして、社内の説得力が増す
特に、事業の重要な意思決定(新規事業投資、価格改定、大型キャンペーンなど)に関わる調査では、専門家の知見を活用することで、失敗リスクを大幅に低減できます。
市場調査の相談をしたい方へ
市場調査の調査依頼方法やRFP作成に不安がある場合は、プロに相談していただくのが最も確実です。
当社では、目的整理から調査設計、実査、分析・報告、社内共有の支援まで一貫対応しており、「調査をどう依頼してよいかわからない」という段階からご相談いただけます。
市場調査の目的に合わせた最適な調査設計をご提案します。
まずは無料相談をご活用ください。
まとめ
本記事では、調査依頼方法の全体像から、依頼前の準備・RFPの作り方・調査会社選び・社内体制づくりまでを解説しました。
成功の鍵は、「目的と意思決定シーンを明確にすること」と「信頼できるパートナーと伴走すること」です。
市場調査を検討中で、「自社だけでは進め方が不安」という場合は、お気軽にご相談ください。
調査依頼方法に関するよくある質問(FAQ)
Q:市場調査にはどんな種類があり、依頼時にどこまで決めておくべきですか?
A:大きくは「定量調査(アンケート)」と「定性調査(インタビュー・グループインタビューなど)」に分かれます。依頼時点では、「どのような意思決定に使いたいか」「誰を対象にしたいか」まで決めておけば十分で、具体的な手法は調査会社と一緒に検討する形でも問題ありません。
Q:調査会社に依頼する際、最低限必要な情報は何でしょうか?
A:①案件の背景、②解決したい課題、③ターゲット像、④予算レンジ、⑤スケジュールの制約、の5つがあれば、調査会社は概略プランを提案できます。あとはヒアリングを通じて、調査目的や質問項目を一緒に整理していく流れが一般的です。
Q:調査費用の相場がわからないのですが、どうやって検討すればよいですか?
A:費用は、サンプル数・対象条件・質問数・手法によって大きく変動します。まずは「この意思決定のために、どれくらいの投資が妥当か」を社内で決め、複数社に見積もりを依頼するのがおすすめです。その際、「だいたい〇〇万〜〇〇万のレンジで考えている」と伝えると、現実的な提案を受けやすくなります。
Q:社内で調査を実施する場合と、調査会社に依頼する場合の使い分けは?
A:小規模な顧客アンケートや簡易満足度調査であれば、社内ツールで十分なケースも多いです。一方で、新規事業や大きな投資判断に関わる調査、ターゲット条件が複雑な調査、統計的な分析が必要な調査では、プロの調査会社に依頼した方が安全です。
Q:調査結果を社内で活かしきるためのポイントはありますか?
A:調査前の段階で、「誰が」「どの会議で」「どんな意思決定に使うか」を明確にしておくことが重要です。また、報告会には関係部署を巻き込み、その場で「明日から何を変すのか」まで具体的なアクションに落とし込むと、社内浸透がスムーズになります。調査会社に、アクションプランまで含めた報告を依頼するのも有効です。
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